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2016年03月18日

杉山純じ(しむじゃっく)×冨坂友(アガリスクエンターテイメント)対談

『わが家の最終的解決』の本格始動を前にしむじゃっくの杉山純じとアガリスクエンターテイメントの冨坂友のトップ同士が対談。企画意図やお互いの課題、この公演を通して目指すものなどを語る。(編:淺越岳人)

「目指してるものは『プロデュース企画を打てて、制作もできる団体』」

冨坂 まず今回の経緯というか。『ナイゲン』やってる最中にメールもらって。


杉山 夏ぐらいに。でその詳細を『ナイゲン』の打ち上げの時にお話しした感じでしたよね。もともと、しむじゃっくが制作を請け負い始めたころからずっと、こういうことはやりたいなと思っていて。制作団体としての差別化というのもあるし、本来「制作」が持ってるプロデュースを前面に押し出した企画をやっていきたいな、というのがあって。


冨坂 当日運営だけでなく。


杉山 どうしても制作やってると「受付やってる人」とか「チケットやってる人」てイメージがありがちなんですけど、そもそもプロデュースをしていく、ていうのが制作の仕事なんだよ、ていうところをなんとか認知させていきたいな、そういうことをずっと考えてはいたんです。ただ、「どうやろう」とか「誰とやろう」とか、そういうことを。で、、、単純に、アガリスクに声をかけた理由は、「僕が好きだから」。


冨坂 ありがとうございます(笑)。2公演くらい一緒にやったんですよね、『時をかける稽古場』と『紅白旗合戦』、あと『ナイゲン』。


杉山 それを観てて、もともとしむじゃっくが主催公演でやってるときはターゲット層が「演劇を観たことがない人」とか「社会人」とかそういう人が気軽に観られるエンターテイメント性が高いもの、コメディであったりとか、そういうものを作ってきたわけですね。だから単純に面白い、ってことと、そういった方に向けて楽しんでいただける団体なんじゃないか、てことで今回はアガリスクが適任じゃないかな、と。


冨坂 そもそも「しむじゃっく」て、もともと劇団ですよね?


杉山 もともとは社会人劇団ですね。年に一回働きながら公演をする、という。


冨坂 社会人時代ありましたよね?その時から?


杉山 はい。会社員の時に、そういう形で。働きながらでもなんとかできないかな、ていう人を集めて。人がいないから脚本やったり演出やったり、あと出演したり。何でもやりましたね。


冨坂 それで、どういう経緯で制作をやってくことになったんですか?


杉山 もともと自分でプロデュースでやっていたのでできるだろうってのがひとつと。あと制作業って人がすごく足りないなあ、と。


冨坂 それは本当にそうですねえ。


杉山 本当はやりたくないのにやっていたり、人がいないからやらざるを得ない人がすごく多くて。演劇界に一番足りてないのはこの制作業なんじゃないかと思って。


冨坂 何年ぐらい前から外部の制作やり始めたんですか?


杉山 外部のは、4年くらい前ですね。2012年が始まりなので。自分が社会人経験があるので、向いてるんじゃないかな、て。足りてなくて向いてるんだったら仕事になるんじゃないかな、て始めたんです。


冨坂 なるほど。


杉山 改めてしむじゃっくなんなのて言われると難しいんですけど。だから、これは「目指してるもの」になるかも知れないんですけど、「プロデュース企画を打てて、制作もできる団体」。自分たちで主催もできて、他の制作も請け負える団体、て形が一番目指すところかな、という感じです。


冨坂 僕としては、声をかけていただいてアガリスクとしてなんで組んだのかというと、「そんなありがたい話はない」という。棚ボタ的なお話で。


杉山 今回のお話としては制作面をしむじゃっくが全部持つ、なのでアガリスクに収支のことは全部しむじゃっくで面倒見るので、いい作品作ってください、ていう。


冨坂 そんな願ったり叶ったりな話は普通ないですからねえ。


杉山 まあ「それがない」っていうのもね。ちょっと演劇界としては淋しいな、ていうのもあって。やっぱりチケット収入しない劇団がほとんどだと思うんですよ。なんかどっかがお金を出して、現状あるのだと劇場が作品を買い取ってやるとか、少ないですけど企業がお金を出して公演を打つっていうのはあると思うんですけど。それをもっとプロデュース団体がやっていってもいいんじゃないの、てことはずっと思っていたことですね。


冨坂 でも、例えば事務所としてガッチリ、タレント的に俳優を揃えていて、その人が所属する劇団をプロデュースする、ていうのもあるじゃないですか。そういう感じではなく、フリーランスで色々なところの制作をやりつつ、自分でプロデュースしつつ、て感じじゃないですか。そこがひとつの劇団の公演をプロデュースする、て実はとんでもないことじゃないですか。「よくそんなことしてくれるなあ」と思いまして。


杉山 なのでね、この企画が失敗したらもう僕は演劇界にいないかも知れない(笑)。


冨坂 この凄さは、観に来る人にも、「これはちょっと凄いことだぞ」ってことは、こっちとしては伝えたい。


杉山 ありがとうございます。


冨坂 杉山さんとしては「そんなこと気にせずただ来てくれ」ていう感じかも知れないですけど。


杉山 僕としてはここら辺で勝負に出て、しむじゃっく的に挑戦をしていかないと、本当にただの「受付の人」になってしまうっていうのがあって、、、なんか受付の人の対応だったり、劇場の運営とかも大事な制作の仕事のひとつではあるんですけど、「それ専任の人」なら、「別に僕じゃなくてもいいかな」ていう思いがあって。じゃ「僕にできることはなんだろう」とか「僕がやりたいことはなんだろう」て考えると、単純にお客さんに観てもらえる数を増やしたいというか、もっと社会と繋げていきたい、ていうのがあるんですよね。


冨坂 しむじゃっくの団体紹介にもありますよね。


杉山 僕個人としてもワークショップの講師をしたり、高校の演劇部のコーチをしたりもしているんですけど、そういう「入り口を広げる」ことを。あと社会人経験があるっていうので「演劇を観たことがない人」とも繋がりがある。そういう人ってきっかけは僕の紹介でも、結構楽しんでくれるんですよ。そういう人たちにもっと演劇の楽しさを伝えたい。それがやりたいんだろうな、ていう感じですかね。



「あらすじを書いた時の『自分的面白さ』は今までで一番」

杉山 あとひとつはいろんな団体さんとお付き合いしていく中で、やっぱり目の前の公演のことに一杯一杯になってしまっていて。


冨坂 それは、そうですね。


杉山 特にアガリスクに声をかけたのも、、、これはちょっとマイナス面の話になるんですけど。


冨坂 いえいえ、全然言っていただいて。


杉山 制作今までいなかったじゃないですか。ずっといなくて、劇団員が一生懸命制作もやっていたっていうのが。なんか「もっとこの人たちが芝居作りに専念出来たらどうなるんだろう」ていうのを観たい。


冨坂 それは本当にその通りです。この1〜2年が特にその傾向が顕著でしたね。まあずっと旗揚げからいた制作のメンバーが会社員になったりして。今でも手助けはしてくれるんですけど。まあ大変で。


杉山 たぶんどこの劇団もそういう状況なんですよね。だから「劇団員になるメリット」てなんなんだろ、て「愛」しかないんですよね。その「愛」をもっと報われる形にしたいな、そのお手伝いができないかな、ていう。


冨坂 特に『ナイゲン』の初ツアー、それと初指定席、あれはヤバかったですね。


杉山 僕も一杯一杯でしたけど。全員苦しんでましたもんね。


冨坂 色んな人の助けを借りつつですけど。京都では京都の知り合いとか、東京だったらしむじゃっくとかに色々助けてもらいつつですけど。単独でフラっと京都行ったりだとか指定席であれこれやったりだとか。その辺は本当にそうなので、助けていただけるのはありがたいです。


杉山 今回はしむじゃっくでどこまでできるかわからないですけど、できる限り制作面は投げていただいて、思いっきり芝居作りをしていただきたいな、本当に本当に。願いではありますね。


冨坂 ありがとうございます。


杉山 「劇団員が報われる公演」があってもいいんじゃないかな、て。「報われる」って言葉は違うかもしれないんですけど。劇団員だからこそ芝居作りに専念できる公演がたまにはあってもいいんじゃないかな。そういうのをこの企画の趣旨のひとつにしていきたいな、ていうのはありますね。


冨坂 それで杉山さんからお話をいただいて、どういう作品にするのか、ていうのは結構話し合いましたよね。少人数のぎゅっとした本当に劇団員だけの芝居、ていう話もあれば、せっかくだから今までアガリスクに出てなかった人と一緒にやって、今までアガリスクを観たことがない人に観てもらう。そういった2択が最初あったじゃないですか。


杉山 これがしむじゃっくプロデュース企画の第一弾だったので、冨坂さんと色々相談させていただいて。どっちかだったんですよね。そのときはもうちょっと劇団員が少なかったので。


冨坂 そうですね、急にその前後でドドって増えたんで。


杉山 「劇団員4人くらいで全国回ろうか」みたいな話も最初はしたし。色んな形は話しましたよね。


冨坂 で、せっかくならばオーディションとかで取った「はじめまして」の人とも一緒にやろうという話になって。それで人数が多めの作品にしようと思って、それで『わが家の最終的解決』という、「ナチスドイツの人がユダヤ人を匿うコメディ」になったんですけど。このネタ自体はずっとやろうかなとは実は思っていて。『アンネの日記』的な設定でコメディをやる、ていう。2015年のコメフェスのときにやろうかな、ともちょっと思ったんですけど。結局そうじゃない方向でコメフェスをやったので温めていたネタです。せっかく大人数で色んな人とやるんだったらこのネタかな、と思って。最初に設定とか聞いてどうでした?


杉山 まあねえ、『大空襲イヴ』でしたっけ?あの話とかをやっているていうのは知っていたんで。「そこ突っ込むか」っていうのは。


冨坂 あまりポップじゃないけど大丈夫ですか?


杉山 ちょっとね。ちょっとは思いましたけど(笑)。でもアガリスクは「大丈夫か?」て思わせておいて結局笑いの方向に必ずシフトしてくれるので。


冨坂 あとはいかに表面上とっつきやすく噛み砕くか、ていうことですよね。


杉山 その辺は逆にアガリスクらしくていいのかな、て感じですね。割とすんなりと受け入れられましたよ。


冨坂 ホロコーストを扱っているんですけど、言っちゃうとホロコースト自体になにか特別物申したいことがあってやるわけじゃないというか、それを扱いつつ、それとコメディの付き合い方みたいなことをやりたいなあ、ということを考えていて。アガリスクは基本的に「ただ面白いコメディを作りたい」ていうのはあるんですけど、なんでしょうね世間的に、特に小劇場におけるコメディのナメられる感じ。あるじゃないですか。


杉山 まあまあ(笑)。


冨坂 ナメられないためだけにこれをやってるってわけじゃないんですけど。あとシチュエーションコメディを観てて、世界観がマイルド過ぎて全然響かないぞ、ていうことはよく思っていて。それもあって「笑えないテーマ」と「笑えるコメディ」を共存させるっていうのはやったりしているんですけど。さっき杉山さんも仰った『大空襲イヴ』ていうのが「東京大空襲前日」て設定でコメディやったのが2011年で。そこから1〜2年そういう路線でやっていたんですよ。特殊清掃っていう孤独死したところをを片付ける現場でコメディ(註:『無縁バター』)やったりしてたんですが、『ナイゲン』でそういう感じから外れたんですよ。高校生とか出すようになって。『時をかける稽古場』とかもそういう。だから久々に「笑えない設定でシチュエーションコメディをやる」ていうのがまた戻ってきた感じなんですけど。なんか『ナイゲン』を経たおかげなのか今までで一番コメディとしてちゃんとしているんじゃないかって。


杉山 どっちかって言うとその『大空襲イヴ』とかの方がアガリスクの原点には近いんですかね?


冨坂 原点がなにか、ていうと本当にもうわからないですけど。旗揚げ公演でなにやったかっていうと甘ったるいラブコメ的なシチュエーションコメディをやっているので。だけど基本的に「誰にでも見やすいコメディ」をあんまりフニャフニャにならないようにやりたい、ていうことですかね。


杉山 僕が聞いている中だとホームコメディがやりたい、て言ってましたよね。そういう感じになるんですか?


冨坂 そうですね。『わが家の最終的解決』てタイトルが、「ユダヤ人問題の最終的解決」ていうのがホロコーストにあたってナチスドイツが唱えていた文言なんですけど、それに「わが家の」をくっつけて。アメリカの1話完結のホームコメディ、あのスタイルでこれをやろうかなって考えていて。「ナチスドイツの人が自分の正体を隠しながらユダヤ人を匿っている」ていう二重に隠したり隠されたりって状況なんですけど、その家族の結構長いスパンの話を何幕かに分けて、1話・2話みたいな感じで描いていくってスタイルにしようかなって考えていて。


杉山 なるほど。それは初耳ですね。


冨坂 大体35分くらいのものの3話構成、みたいなイメージです。基本的にひとつの場所で起こっていたり関係性は固定だったりするんですけど、時代物をやるからなのか、久々に幕を分けてやってみようかな、と。


杉山 基本的に1幕1場ですもんね。


冨坂 『時をかける稽古場』は真ん中で割ってみたりもしたんですけど。『ナイゲン』とかは1幕1場なんで。なんかその尺とか構成によって海外のホームコメディ感を出して行けたらなあ、と思っているんですけど。久々に国府台高校じゃない話をやるんで(笑)。だから自分の話っていうよりも単純にコメディとして「やったら一番面白そうだな」てものをやる、て感じです。1行であらすじを書いた時の「自分的面白さ」は今までで一番「これキテるな」て思ってて。「なにやるか」「どういう問題があるか」ていうのが一発でわかるあらすじなので。


杉山 そうですね、あとはそれを、僕の使命としては「どうお客さんに伝えていくか」。


冨坂 そうですよね。あんまり暗い話とか、いわゆる「戦争もの」みたいなパッケージにしたくないじゃないですか。


杉山 あとホロコーストでコメディを、ていうと、、、


冨坂 「不謹慎だ」、とか。


杉山 うん。そこをね。そうではないんだよ、てことを上手く伝えられないと。そこはひとつアガリスクの課題だと思っていて。結構お客さんの反応とかを見ていると、初見の人はフライヤーのデザインであったりとかホームページから受けていたイメージと、実際観てみると全然違う、ていうのを結構聞くんですよ。


冨坂 ああ。


杉山 逆に言えば最初から「コメディ感」みたいな、やっていることを伝えられればもっと客足って近づくんじゃないかな、って思ってるんですよ。
冨坂 硬い印象はありますよね。


杉山 硬い、、、スタイリッシュという言い方をすれば格好いいですけど。そっちの方向に走って、本来この芝居を楽しめる、アガリスクを楽しめるお客さんが遠のいてしまっているんじゃないかと。3公演観ていて思ったので。そこもなんとかできれば。


冨坂 イメージとして顔が見えないな、ていうのはありますよね。フライヤーにも顔写真とか使っていないし。小難しそうに見えるんですかね。


杉山 屁理屈の方が前面に、「屁理屈シチュエーションコメディ」の「屁理屈」の部分が前面に出過ぎているのかな、て思いますね。差別化は図れているけど、そこを差別する必要はあまりない、と僕は思っているので。


冨坂 たぶんキャラを立てるのに必死だった感じはありますね。特に「笑えなさそうな設定でコメディ」をやっていて。そこから先『ナイゲン』はブラックな設定ってわけではないんですけど、理屈を捏ねるようになっていって。そこからわざと団体紹介の1行目に「屁理屈シチュエーションコメディ」て書くようにしたんですよ。フライヤーの感じも、色を1色決めてそれのベタ塗でいく、ていう。それで印象を付けるように。だから、なんとなく「キャラを立てること」に必死になっていたと思うんですよね。で、『ナイゲン』とか何度もやって、ある程度「屁理屈」とか理屈捏ねてを笑いに変えるとか、そういうことやる劇団だな、ていうのが認知されてきた感はあるので、なんかイメージの刷新を図りたいな、とちょうど思っていいたところなんですよ ね。


杉山 そうですね。この企画がその足掛かりになればいいですけど。個人的な思いとしては、コメディを観に来て「ただのコメディじゃなかった」っていう裏切られ方をして欲しいんです。コメディじゃないものを観に来てコメディだった、ていう裏切られ方をする必要はないのかな、と思っています。



「制作業をやっている人たちの勇気になりたいし、『劇団員』の勇気にもなって欲しい」

冨坂 杉山さんの今回の公演の「目標」ってなんですか?


杉山 目標ですか?とにかく第一弾なんで、、、


冨坂 上手くいかなかったらこの企画は続かないってことですか(笑)。


杉山 もちろんそうですね(笑)。単純に言えばしむじゃっくとアガリスク両方の名前を世間に出したいと思っている、それが最大の目標ですね。具体的な数字とか目標はありますけど、そこは胸の内に秘めておいて(笑)。


冨坂 僕は目標としては、普通に本公演作るのとまったく「大きさ」というか「重さ」は変わらないというか、むしろ専念させてもらえるので、「次の代表作」を作ろうかしら、てことですかね。いやなんか代表作になりそうな気が凄いしてるんですよ(笑)。


杉山 素晴らしい(笑)。


冨坂 まだ稽古も始まっていないし台本も書いてる最中なんですけど。完全に「絵に描いた餅」なんですけど。「なんかコレ行けんな」って。実はあったりするので。
杉山 それは願ったり叶ったりですけど。あと、もうちょっと細かく言うと、制作業をやっている人たちの勇気にもなりたいし、あとは「劇団員」という人たちの勇気にもなって欲しいな。劇団員になるってことは凄く大変なことだと思うんですよ。


冨坂 、、、大変ですね。


杉山 今お芝居に出ようと思えばいくらでも出ることができて、フリーでやってる方も一杯いてフリーでやっていける現状なのに、あえてその劇団に所属してあえてその劇団に、、、言い方悪いかも知れないけど「奉仕」をする。もっとそのメリットを見せられたらいいな、と。


冨坂 それは、僕も結構思っていて。今年の1月に3人入ってくれて。そこからまた1人制作で入ってくれて。こっちとしてはありがたい限りなんですけど。フリーで客演で、てことでも芝居に出ることはできますもんね今。でも実際僕が他のところに脚本提供したりとかもたまにやってますけど、結局、、、こういうこと言うと脚本提供しているところに悪いんですけど、「自分の劇団じゃないとコレは作れないな」ていうものがある。完全に自分の領分だけでバキっと作って感じが僕はできないんですよね。脚本のこととか演出のこととか一緒になってやってくれないとなかなか作れないし、逆にそうじゃない部分のプロデュース的な部分もどうしてもやりたくなっちゃうし、その境界を曖昧にしないと上手いこと回らないんですよね。そういうのもあって劇団で作っていきたいんですよ。劇団じゃないと作れないものが作りたいなあ、と思っているんですよね。だから、、、これは1個シバりにはなっちゃうんですけど、劇団のメンバーなら、本公演って名乗っているんなら全員出ないとダメだし、ただ劇団員が労力になってたりだとか、ただリスクとかコストを払うだけの人になるのは凄く勿体ないなと思っていて。「そいつらじゃないと作れない表現」を選ばないと意味がないな、と思ってるんで。


杉山 それの後押しをできるようなことができるのが、この企画なのかな、と。凄く心配してるのは、劇団員が制作のことをやらなくていい、て状況に戸惑わないかな、て。


冨坂 「あ、ここやらなくていいんだ」とか。お見合い状態になるとか。


杉山 そう(笑)。


冨坂 それはなりそうな気がしますけど。上手いこと連携して。


杉山 そこはお互いに知った顔同士ではあるので。ただみんなやるのが当たり前になり過ぎていて、逆に戸惑ったらどうしよう、て心配はしてるんで。


冨坂 これは「前例」として残したいですよね。


杉山 そうですね。


冨坂 普段制作やっている人がプロデュースまでやって、ていう。


杉山 単純にお金を出すだけじゃなく一緒に作りつつ且つ余計な首を突っ込まない、ていうんですかね。キャスティングとかにビジネス的な余計なことを突っ込まずに、思いっきり作ってもらう。そういう企画になっていけばいいかな、と思います。その辺がまだお客さんに伝わってないのかな、て思っていて。


冨坂 それはありますよね。


杉山 「しむじゃっくがアガリスクをいい様に使おうとしてるんじゃないか」みたいな。


冨坂 そんなことはない(笑)そんなことはないしアガリスクは最近評判こそ良くてありがたいものの、結構色々大変なので(笑)。こっちがありがたいって話ですよ。


杉山 (笑)


冨坂 これによって今年ひとつ興行としてデカいのが打てた、ていうのは劇団的には本当にありがたいことで。


杉山 それはそうですよね。


冨坂 今たぶん沢山作品作らなきゃいけない時期なんですよ。作りたいし。環境としても整ってきてるし。


杉山 『ナイゲン』やってその後、「次は早くても1年後です」て話を聞いた時に、「いやいやいや」って。「ここまでやって今年打たなくてどうするの」て、ちょっと思いましたもんね。だから最初『ナイゲン』やった時に「5月やらない?」て話をしたときも「急かな?」て言ってはいたんですよ。だけど、タイミング的には5月くらいにやらないと勿体ないよ、て話はしたんですよね。


冨坂 なんで1年後になっちゃうとか言っていたかというと、『ナイゲン』が博打過ぎてそれの結果が出るまで次の動きを、、、演劇って1年くらい前に劇場押さえたりとかしてるじゃないですか。なんですけど博打過ぎたのでその後の動きを考えられなかったんですよ。下手したらなくなる可能性もあるぞ、と。劇団自体が。だから『ナイゲン』後に1から準備すると、どうしても期間が開いちゃうな、ていうのがあって。なのでそこの部分をサポートしてもらって5月に、、、結構な規模じゃないですか。


杉山 そうですね。


冨坂 KASSAI(註:池袋にある「シアターKASSAI」。今公演の会場)2週間とか。「こいつは大変だぞ」って。


杉山 大丈夫なのかな俺(笑)。


冨坂 (笑)。だからそういう公演がやらせてもらえるのは、こっちとして大変ありがたいことなので。だから、みんながみんな杉山さんにオンブにダッコで公演ができるか、ていうとそんなわけにはいかないので。こういうケースが増えるといいですよね。


杉山 1年に1回はこういう企画をやっていきたいなと思っているんですけど。

まあさっきの『ナイゲン』と一緒でウチ的に博打ではあるので。


冨坂 上手いこと成功させたいですね。


杉山 成功させたいと。まあ「しむじゃっくPresents」がなくなったらそういうことなんだな、と(笑)


冨坂 (笑)、、、アガリスク的には「そんないい話あっていいの?」と棚ボタ的に始まった話ですけど、今となっては番外公演みたいなそういう扱いじゃなくて、感覚としては「これは代表作行けんじゃないか」感じのが作られつつあるので、ぜひご期待下さい。


杉山 僕も期待しているので。


冨坂 お互い色々なにかが懸かっているので(笑)


杉山 一蓮托生と言いますか。よろしくお願いします。



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